2025/5/21
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教材と指導方針、そして「熱量」について |
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『あしたのために』2025年 第2号── 教材と指導方針、そして「熱量」について ── 【2008年4月号より】新年度は2月から始まっているが、学校の始業の区切りでもあるし、新しく入塾していただいた塾生も多いので、今回は改めて私が学習指導に関して強く思っていることを述べておきたい。 まず教材について。今や四谷大塚のテキストや、踏青会の模擬試験は、当塾とは切っても切れない縁になってしまった。もちろん優れたところもあるのだが、その内容について私はこの塾で働き始めた当初から、中学受験体験者として疑問を感じ続けていた。特に理科・社会に関しては、愛知県の御三家(南山女子・東海・滝)などで出題される傾向と明らかに相違する内容が掲載・出題されていることが多い。 事実、四谷の場合は、首都圏の著名な中学校でたった一校だけでも入試において特殊な傾向の出題をすれば、それが教材に掲載されるし、踏青会の場合は、愛知県とは全く関係のない地域の過去問を参考にしたり、あるいは出題者の専門分野に偏りすぎたマニアックな問題が見られることもある。 そういった場合、生真面目な塾生(あるいは保護者の方?)は「すべてできるようにしなければならない」と勘違いしてしまうが、それは的外れな勉強に時間を費やすことになってしまう。私が授業で扱った範囲、またはシリーズテストで出題された範囲でできていない部分を重点的に復習するのが、最も効率的で正しい学習法だと信じている。 私自身が教材を作成する際(たとえば社会の3回書きテスト)には、常に御三家の過去十数年の出題傾向を意識している。これはプロとして当然の姿勢であり、その責任感から、休日出勤も惜しまず教材作成に打ち込んでいる。 その作業に、ときに苦悩・葛藤を抱えながらも、私は継続して取り組んでいる。だからこそ、塾生にもそれに応えるだけの熱意と勉強量を求めてしまう。受験とは、本人・保護者・講師が三位一体となって戦い、勝ち取るもの。そのうち1つでも欠けてはいけない。 塾生にやる気がないと見受けられる場合、ある程度受験結果は見えてしまう。200名近い塾生を見てきた経験から、これはどうしても分かってしまう。中には取り繕う講師もいるようだが、私はごまかしが嫌いだ。受かりそうにない塾生に「受かるふり」はできないし、したくもない。だから時にははっきりと「第一志望不合格宣言」をしてしまう。だが、それでも奮起して立ち向かおうとする塾生がいるなら、私は全力で応援し、考えを改める覚悟もある。 【2025年の細川より】17年前のホッソー、怖っ……(笑) そして時代が変わると制度も用語も変わるものです。
ひとつだけ確信を持って言えるのは、「当時よりも今の方が良い教材を提供できている」ということ。毎年マイナーチェンジを繰り返しながら、教材は確実に進化してきました。 性格は当時に比べればずいぶん丸くなった……かな? 「受かるか、受からないか」が見えているとき、やっぱり嘘はつけません。 次回も、かつての原稿と現在の思いを重ねながら、今伝えたいことを綴っていきます。 |
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