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2025/10/31

My policy

『あしたのために』2025年 第20号

──My policy──

【2010年1月号より】

 

  昨年12月中旬に発売されたファイナルファンタジー13。これが私の生活を完全に狂わせた。12作目まで全部クリアしてきたライフワークの一つ。約4年ぶりの新作をやらない訳にはいかない。そしていつも通りハマった。やっぱり面白い。先月号で正月にテレビやゲームだけでは・・・などとご大層なことを書いたくせに、年始の過ごし方は、ひたすらメシ→ゲーム→映画→メシ→ゲーム→映画→メシ→ゲーム→寝るのローテーションで、しかも一日の後半は酒が入るという自堕落な生活を送ってしまった。その結果、予想通りの体調不良。人はなかなか成長しない。いや成長を自ら拒んでいるのかも知れぬ。そんな私でも塾にいる間は、常に心に留めておくポリシーがいくつかある。今回はそれらを紹介しておこう。

 

一、時間厳守。

    これはある意味強迫観念に近い。朝に弱いが、やむを得ず早起きをしなければならぬ時には、たいていアラームの設定時間よりも早く起きる。またそんな前日の夜は緊張でなかなか寝付けない。いわゆる不眠症だ。乗り物の中や授業中に寝られる人の気が知れない。同様に塾では授業時間が近づくとなんだかソワソワしてくる。だから間際に電話や来客があると相当焦る。どうしようもない性分だ。

 

一、襟付きの服を着用する。

    夏は暑すぎてポロシャツだし、冬でも常時って訳じゃないけど、やはりホワイトカ  ラーたるもの基本はスーツだろう。変に格好つけて多少着崩すけれども。だって○○の連中なんか見てると、ダッサいんだもん。みんな揃って紺のリクルートスーツみたいなの着ちゃってさ。しかもその上からウインドブレーカーって、おいおいセンス0だね~。ああはなりたくないものだ。因みにドラマ『ガリレオ』で福山雅治が着用していたのに触発されて、2年前からスリーピースがお気に入り。その4着ともオーダーメイド。給料がすっ飛ぶ~。

 

一、教材に独自性を出す。

    四谷大塚のテキストはなかなかよくできた教材だけど、いざ愛知県の中学入試を考えると不必要な内容があったり、逆に必要な内容がなかったり・・・。どうにも気に入らん。ということで作り始めたのが社会の3回書きテストと6年理科の復習テスト。でも毎年入試が終わり、作成した時点では完璧と思ったものを改めて見直すと、あれが足りない、これは余分だったの繰り返し。作り直し作業は半永久的に終わらない。

 

一、通常授業のレヴェルは偏差値55。

    当塾には入塾テストがない。しかしどこかに基準を設けて授業をしないと軸がブレてしまう。そこで念頭に置くのが55という偏差値。これは多数が目標としている受験校のレヴェルを鑑みるに、譲れないラインだ。よって一部の上位層には物足りなく感じるかもしれないし、一部の下位層には厳しくてついていけないと感じるかもしれない。それは私自身、致し方ないことだと諦観する一方で、十分ジレンマも感じている。ご容赦いただきたい。
 
 

一、夕食時以外に固形物を口にしない。

    食欲は人間の三大欲求の一つだが、それをセーブしてこそ人間だろう。決められた  時間以外に食物を貪るのはみっともない。そもそも塾生に塾内で休憩中であろうとも菓子を食べるのを禁止しているのに、自らが食べていては全く説得力がない。ちなみに私が小学生時分通っていた塾は、行き帰りの買い食いも禁止だった。当時はその意味が全く判らなかったが、今はなんとなく見えつつある。うまく説明はできないけど。

 

一、整理整頓し、使用した物は元の場所に戻す。

 元通りにすることは一見面倒くさいようにも思える。ただよく考えてみれば、少し  気を配らなくてはならないのは確かだが、一つ一つの所作にさほど苦労を伴うものでもないことに気付く。むしろそれを怠ったがために、大事なものを紛失してしまい、探さなくてはならない時間の方が勿体なく馬鹿馬鹿しい。だから面倒くさがり屋の私は、逆に面倒くさくない方法を選んでいるだけ。でも私のテリトリーをたまに他者によって蹂躙されることがある。怒り心頭といったところか。

 

一、守られるべき規律は必要。

    平等という名の下に一様を求めるのは愚かしい。しかし円滑に授業を進行させ学習  環境を整える為に、規律を定めることは必要不可欠だ。とはいえ人は間違いを犯す。  大人でもそうなのだから、子どもであれば尚更だ。だからこそ自身には許容する度量が求められる。と同時に目に余る行動をとった場合には、話し合いと説教もせねばなるまい。但し我が力量ではもはや制御不能、授業料に見合った教育を施す責任は負えないと判断した場合には、必然的に「退塾」の二文字が頭をもたげる。それもまた誠実さの一つだと考えている。

 

一、仕事を金儲けとは考えない。

    お金はないよりはあった方がいいけれども、一定の生活水準を超えていれば、お金があればあるほど幸せだというのは幻想に過ぎない。よく授業中、諭吉っつぁん大好き発言をするが、あれは半分ウソ。人は置かれた状況に順応できる代わりに飽きもするし、欲を出したらキリがない。だから仕事は生活していくための手段ではあるが、あくまで金儲けでなく趣味の一環だという姿勢を崩したくはない。変な言い方だが、趣味だからこその信念と矜持を持って授業に臨んでいる。そしてその信念の為ならアウトロー的言動も厭わない。一度しかない人生の大半を割くことになる仕事の時間に、なるべく無理と苦痛を伴わないことはとても重要だから。

 

  奇をてらう必要はないが、個性を失ったら魂が滅した生ける屍に等しい。元来気難しい一面があって選り好みが激しく寡黙なはにかみ屋、決して人にウケる柄ではないけれども、それはもう今更仕方のないことだ。でもなぜか熱狂的信奉者がいるんだよな(笑)
懊悩した時期から10年の歳月が流れ、自分なりのスタンスを確立できたのは幸いだ。反りが合わない人は必ずいて、これからも出会い続けるのだろうが、妥協はしても迎合はしない。それを批判したければ、勝手にするがいいさ。だから私の座右の銘は、“魚心あれば水心、但し孤高を目指す。”だ。
 


【2025年の細川より】

 先日発売された『ドラクエ1・2』の新作にしっかりハマり、15年前と全く同じ生活をしております(笑)

 ただ、進化か退化かはともかく、当時と変わった点もあります。
 
 まず服装。スーツはすべて処分し、夏場はポロシャツ+スラックス、冬場はバンドカラーシャツ+スラックス。すべてGUかユニクロ製。以前は10万円超えのポール・スミスやタケオ・キクチを着ていましたが、「それ、意味ある?」と思うようになりました。

 また、授業時間外のお菓子は現在は解禁。ただしルールを守れなかった学年は、禁止にしています。私は今でも塾内で固形物を口にしませんが、それは精神的な区切りのようなもの。棋士が対局の合間におやつを食べるように、脳を使う仕事でも栄養補給は必要、と今は考えています。

 そして仕事に対する考え方も変化しました。
 
 一つは、老後を現実的に考え、他人になるべく迷惑をかけぬよう資産形成を重視するようになったこと。
 もう一つは、資本主義の世の中で「金銭を得ること」自体が、自らのモチベーションを高める要素になったこと。

 「お金があれば幸せ」というのはやはり幻想に過ぎないと思いますが、一方で「お金がなければ不幸になる」というのも事実です。
 
 ある程度まとまったお金があれば人生の自由度が上がり、安心感も得られる。また投資を通じて企業を支え、利益の一部は税として社会にも還元できる。

 ゆえに今の私は、
 「経済を回す一員として、誇りを持って金銭を得る」
 という思考へと変わりました。

 それでも、仕事を敢えて単なる「金儲け」とは呼びません。
 あくまで、自分の信念と美学の延長線上にあるものとして、
 これからもこの仕事を続けていこうと考えております。

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