『あしたのために』2025年 第8号
── 読書の秋、何を読む? ──
【2009年9月号より】
読書量はある程度、国語の成績に比例すると思う。
読解力・語彙力・読む速度が自然とアップするはずだから。
そこで今回は、私がこの夏、深夜にビールをちびちびやりながら読んだ本を紹介しよう。
『ヴィヨンの妻』 / 太宰治 評価:75点
著者自身の思想と生活の投影。メロスとは異なる、もう一つの真実。
『仮面の告白』 / 三島由紀夫 評価:70点
精緻な精神の葛藤。読後に疲れと納得が同居する一作。
『砂の女』 / 安部公房 評価:??点
難解だが、考え続けたくなる不思議な余韻。未評価。
『華岡青洲の妻』 / 有吉佐和子 評価:70点
嫁姑の静かな戦い。女の誇りが胸に残る。
『夜光の階段』 / 松本清張 評価:60点
面白いが、やや既視感。そろそろ清張は卒業か。
『太陽の季節』 / 石原慎太郎 評価:50点
先駆性は認めるが、感情移入は困難。
『裸の王様』 / 開高健 評価:80点
教育とは何か。心が震えた一冊。
『ねじまき鳥クロニクル』 / 村上春樹 評価:75点
虚と実のあわいに遊ぶ感覚。間宮中尉が印象的。
『沖で待つ』 / 絲山秋子 評価:60点
評価難しい系。芥川賞って一体…。
『街の灯』 / 北村薫 評価:60点
お洒落ではあるが、推理小説としてはやや物足りず。
『ジェネラル・ルージュの凱旋』 / 海堂尊 評価:70点
堺雅人に期待。シリーズものとしては安定感あり。
『ルパンの消息』 / 横山秀夫 評価:85点
軽快で抜群のテンポ。三億円ネタも鮮烈。
『名もなき毒』 / 宮部みゆき 評価:70点
現実的な恐怖がじわり。読む順番は注意。
『終末のフール』 / 伊坂幸太郎 評価:75点
短編ながら粒ぞろい。『冬眠のガール』に癒やされた。
『赤い指』 / 東野圭吾 評価:80点
加賀恭一郎、やっぱり格好いい。読ませる力が違う。
【2025年の細川より】
結局のところ、私は「推理小説」が好き。
少し前に『アタック25』で「ミステリー好き大会」が開催され、
出場者たちがお気に入りの1冊を紹介していたのですが、そこで挙がっていた
『○○○○○○○○殺人事件』(早坂吝)
『ロートレック荘事件』(筒井康隆)
この2冊は未読だったので、即購入&読了。
いずれも、「なるほど、これは映像化できない」という叙述トリックが仕込まれており、
読む者の想像力と論理力をフル稼働させる、知的な楽しみに満ちた作品でした。
かつては「文学部出身なのに文学を読んでいない」と反省していた私ですが、
今では「読書=趣味と実益を兼ねる最強ツール」と割り切って、
好きなジャンルをとことん楽しむことが一番だと実感しています。
もちろん、小説から得られる語彙・構文・背景知識は、国語の読解力にも直結しますし、
「登場人物の思考の筋道を追う」ことは、入試国語の論理的読解にもつながるのです。
これからも、また新たな“面白い一冊”に出会えることを願って。
塾生のみなさんも、ぜひ読書を楽しんでください!